言葉が守る場所  

〜「ありがとう」が灯す空間の記憶と、町の未来〜


私の住む町にある、市民活動支援センター。  

地域の人たちが集い、支え合う場所。  

けれど、もし震災や水害が起きたときには、  

死体安置所として使われることが決まっている。


その事実を知ったとき、  

私はその建物に、静かな敬意を抱いた。  

そこは、命の終わりを受け止める覚悟を秘めた場所。  

けれど同時に、今を生きる人たちの声が響く場所でもある。


先日、私はその支援センターで、パソコンの不調に困っていた。  

すると、そこに勤める男性が、  

本来の業務ではないにもかかわらず、  

迷いなく、静かに、丁寧に直してくれた。


私は「有難う。大切に使うね」と言って帰った。  

その言葉は、彼に届いたのはもちろんだけれど——  

ふと、こんなことを思った。


この「ありがとう」は、建物の中にも残るのではないか。

明日も、明後日も、それ以降も。  

誰かがその空間に足を踏み入れたとき、  

なぜか安心したり、やさしい気持ちになったりする。  

それは、言葉の波動が空間に染み込んでいるからかもしれない。


スピリチュアルの世界では、  

言葉には波動があり、場を整える力があるとされている。  

特に「ありがとう」は、  

命や魂に寄り添う、浄化と祈りの言霊。


人が暮らす場所には、日々の「おはよう」「いってきます」「おかえり」  

そして「ありがとう」が飛び交い、  

その言葉たちが空間を守っている。


けれど、誰も住まなくなった家——  

廃墟となった場所には、言葉の波動が途絶え、空白が生まれる。  

その空白に、未浄化の想念や感情が留まり、  

“お化け”のような存在が住み着くことがあるという。


つまり、言葉は空間を守る光なのだ。


そして、私はふと思った。


この支援センターが、もしもの時に死体安置所になると決まっていること。  

その重さを知った今、なおさら思うのだ。


だからこそ、今ここで交わす挨拶や感謝の言葉が、  

この場所の未来を変えるのではないかと。


ナナミのように、元気な「おはよう」や「ありがとう」が町に響けば、  

その波動は人と人をつなぎ、信頼を育てる。  

そして、いざというとき、  

この場所は“死を迎える場所”ではなく、  

できる限り多くの人が生き残るための、避難生活の場になる。


言葉は、未来を選ぶ力を持っている。  

だから私は、今日も挨拶を大切にしたい。  

「ありがとう」を惜しまずに伝えていく。  

それが、私たちの町を守る、静かで確かな“備え”になると信じている。



「輝虹会スターレインボー」という名前には、 多様な人がそれぞれの色を持って輝けるように──という願いを込めています。 決してLGBTに限定した団体ではなく、誰もが安心して関われる市民活動の場を目指しています。 誤解されることもありますが、それでもこの名前を選んだのは、希望の象徴だからです。


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