ほしい情報が届かない街 鈴鹿
——情報の届け方が、まちのやさしさと強さを決める
【写真説明】
地面に落ちた一枚のチラシ。
それは、誰かの「参加したかった」の証かもしれない。
情報の届け方が、まちの信頼をつくる。
■ はじめに:知らなかった、という声の重さ
「そんなの、知らなかったよ」
商店街の角で、手ぬぐいをたたみながら、おばあさんがつぶやいた。
鈴鹿市で開催された市民出店イベント。
ネットでは何度も告知されていた。
でも、彼女のもとには届いていなかった。
「紙のチラシがあれば、店に貼っておけたのにね」
情報は“出した”だけでは届いたことにならない。
誰に、なぜ、どうやって届けるのか。
そこを考えることが、まちの信頼をつくる第一歩だと思う。
■ A型就労で働く市民から届いた声
今回、この問題を最初に私たちに伝えてくれたのは、
知的障がいがあり、A型就労で働く鈴鹿市民の方だった。
その方はこう話してくれた。
「午後になってようやく体が開く日が多い。
午後から行ける居場所の情報がほしいんだけど、どこにも載っていない。」
ネット検索は難しい。
LINE公式は通知が多すぎて埋もれる。
紙のチラシはなくなった。
どこに行けば情報があるのかもわからない。
行政の窓口ではなく、
輝虹会スターレインボーのスタッフに相談が届いたという事実が、
鈴鹿市の情報が“届いていない”ことを物語っている。
■ 1. 情報が届かないのは「ネットを使わない人」だけじゃない
- 通知が多すぎて埋もれる
- LINE公式アカウントをミュートにしている
- SNSを見ない日がある
- 情報が流れてしまい、あとから探せない
➡️ 「ネットを使っている=情報が届いている」ではない。
■ 2. 情報の届け方が「参加できるかどうか」を決めてしまう
- 申し込みが終わっていた
- 知らないままイベントが終わっていた
- 「自分は対象外なんだ」と感じてしまった
➡️ これは、関心の問題ではなく、設計の問題。
■ 3. 情報発信の「順番」が間違っていないか?
【ありがちな流れ】
イベント企画
↓
ネットで告知
↓
ネットで申請受付
↓
イベント開催
➡️ 「誰に」「なぜ」が抜け落ちている。
【あるべき流れ(5W1Hの再設計)】
1️⃣ Who(誰に)
2️⃣ Why(なぜ)
3️⃣ What(何を)
4️⃣ How(どうやって)
5️⃣ When・Where(いつ・どこで)
6️⃣ 紙とネットの複線化
■ 4. 紙媒体の力——「一度は目にする」ことの意味
- ポストを開ければ必ず目に入る
- 手元に残るから見返せる
- 家族と共有できる
- 「届いた証拠」が残る
➡️ 紙は、まなざしの痕跡。信頼の証。
実際、稲沢福祉まつりでは、紙媒体「いーな10月号」に募集を載せたことで、
1人の女子大生が応募し、当日インターンとして参加してくれた。
一方、鈴鹿市では紙の「ボランティア通信」が消え、
LINE公式アカウントへの移行で、情報が市民の目に触れにくくなっている。
紙が“届く”ことで生まれる出会いと、
デジタル化で“見えなくなる”現実。
情報の届け方ひとつで、まちのつながりは生まれもすれば、途切れもする。
■ 5. イベントだけじゃない。暮らしの中の「届かない情報」
- 福祉制度の申請期限を知らずに逃す
- 子育て支援を知らずに孤立する
- 災害時、避難所情報が届かず取り残される
➡️ 情報の届け方は、暮らしの質と命に直結する。
■ 6. 災害時、最後に残るのは「紙と手」
電気が止まり、ネットがつながらない。
それでも、輪転機を手で回して、紙に刷って、配る。
- 紙は停電時にも使える
- 手渡しは安否確認にもなる
- 声で伝えることは、孤立を防ぐ
➡️ 情報の多様な届け方は、まちの“しなやかな強さ”を育てる。
■ 7. 輝虹会スターレインボーの願い
- 「誰もが幸せに暮らせるまちにしたい」
- 「情報の有無で参加の可否が決まる社会にはしたくない」
- 「見放さない。差別しない。だからこそ、届け方にこだわる」
イベントの案内が「保護者向け」だけで終わる。
支援制度の情報が「大人の言葉」でしか書かれていない。
地域活動のチラシに「中高生歓迎」と書かれていない。
➡️ これでは、未来の大人たちが「自分は対象外なんだ」と感じてしまう。
■ 情報は「今の大人」だけじゃなく、「未来の大人」にも向けるべき
- 中学生にもわかる言葉
- 高校生でも申し込める表記
- 彼らの生活圏に届く情報
その実感が、まちへの信頼と参加の第一歩になる。
■ 情報が届かないまちで、本当に「これで、いいんかい?」
情報は、何度でも届けていい。
忘れられた人を思い出すための、やさしい繰り返し。
一度で届かないなら、二度でも三度でも。
こんなことが、もう二度と起きないように。
市民の声が届き、誰もが関われるまちであるように。
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