🌈 福祉って“助けること”じゃない。
SDGs17番から見える「つながりの構造」と、鈴鹿・岩倉・大口町の違い
(著:高橋那波美)
◆ はじめに
前回の記事
👉 「議論が深まる街と深まらない街。その違いは“参加構造”にあった」
https://starsrainbow777.livedoor.blog/archives/34369754.html
では、鈴鹿と岩倉のワークショップの違いを通して、
“誰がその場にいるか” が議論の質を決める という話を書きました。
今回はその続編として、
「福祉とは何か?」
「SDGsとは何を目指しているのか?」
という視点から、鈴鹿・岩倉・大口町の“つながりの構造”を比較します。
◆ 1. SDGsから見ると、福祉は「17番 パートナーシップ」そのもの
SDGsの17番は
「パートナーシップで目標を達成しよう」。
実はこれ、福祉の本質と同じです。
福祉とは
“弱い人を助けること”ではなく、
“社会のつながりをデザインすること”。
行政・市民・団体・学校・多文化コミュニティが
協力して支える仕組みこそが福祉。
だから、SDGsの1〜16(貧困・教育・健康・まちづくり…)は
すべて「生活の質=福祉」の領域。
そして、それらを支えるのが
17番=つながりの仕組み(中間支援)。
◆ 2. 多くの自治体で起きている「SDGsの理解不足」という構造
これは特定の誰かを批判するのではなく、
全国の自治体で共通して指摘されている“構造的な課題”です。
- SDGsが「バッジ・ポスター」で止まる
- 福祉=支援と狭く理解されている
- SDGsを「事業の分類」として扱ってしまう
- 生活者の声が議論に入らない
本来SDGsは
「まちのつながりをどう再設計するか」
という視点が必要。
しかし、生活者の声が届く仕組みが弱い自治体では、
SDGsの本質である “誰も取り残さない” が実現しにくい。
これは鈴鹿でも同じ構造が見られます。
◆ 3. 鈴鹿・岩倉・大口町の“つながりの構造”を比較する
📊 地域の参加構造・中間支援の比較
| 項目 | 岩倉市(4.8万人) | 大口町(2.4万人) | 鈴鹿市(19万人) |
|---|---|---|---|
| 子ども会 | あり | あり | なし |
| 市民活動支援センター | あり | あり | なし |
| 中間支援の質 | 市民・行政・団体が自然につながる | 町民活動センターが橋渡し | 福祉団体中心で閉じている |
| 子どもの入口 | 子ども会・PTA | 子ども会・センター | Shining・子ども食堂に偏る |
| 団体間の協力 | 生活者中心で協働が自然 | センターが支援 | 新規団体が入りにくい |
| 行政との距離 | 近い | 近い | 遠い |
| 生活者の声 | 届きやすい | 吸い上げられる | 届く仕組みがない |
| ネットワーク構造 | 多様な団体が参加 | 幅広い団体 | 福祉団体だけで固まる |
📊 IVC・岩子連・Shining・鈴鹿市の構造比較表
| 項目 | 岩倉 IVC | 岩倉子ども連絡協議会(岩子連) | 鈴鹿 Shining | 鈴鹿市(地域構造) |
|---|---|---|---|---|
| 役割の種類 | 横のつながり(中間支援的) | 子ども会のネットワーク | 縦の支援(福祉) | つながりの仕組みが弱い |
| 主な活動 | 子ども会の手伝い、岩子連の手伝い、自主イベント | 加入地域の子ども会同士の連携 | 子ども食堂、個別支援、居場所づくり | 入口が少なく、団体同士がつながりにくい |
| 加入の仕組み | 誰でも参加しやすい | 任意加入(入りたい地域だけ) | 困難を抱える子どもが対象 | そもそも入口が存在しない |
| 若者の参加 | とても入りやすい | PTA・地域の大人中心 | 若者は入りにくい | 若者の入口がほぼない |
| 行政との距離 | 近い(声が届きやすい) | 比較的近い | 遠い(福祉分野に偏る) | 生活者の声が届きにくい |
| 地域のつながり | 自然に育つ文化がある | 地域ごとに連携 | Shining に集中して見える構造 | 横の線が弱い |
| 本来の位置づけ | 地域の入口・つなぐ役割 | 子ども会のネットワーク | 困難家庭の支援(入口ではない) | 中間支援が欠けている |
| 誤解されやすい点 | 入口に見えるが“つなぐ側” | 任意加入でも機能する | 入口のように見えるが本来は違う | 入口がないため Shining が入口に見える |
これは Shining が悪いのではなく、
鈴鹿には “つなぐ仕組み(中間支援)” が存在しないから。
- 子ども会がない
- 市民活動支援センターがない
- 団体をつなぐ文化がない
その結果、
Shining が“地域の入口のように見えてしまう”構造が生まれる。
しかし本来、Shining の役割は
「支援が必要な子どもを支える縦の福祉」。
地域の子ども全体をつなぐ
横のつながり(子ども会・中間支援) とは役割が違う。
ここを誤解している団体が多い。
◆ 5. 私が作りたいのは「17番=つながりの仕組み」
私は、鈴鹿に必要なのは
“団体をつなぐハブ(市民活動支援センター)”
だと感じています。
だから私は
子ども会を作りません。
私はプレイヤーではなく、
つなぐ側(中間支援) だから。
地域の未来は、
参加する人の顔ぶれと、つながりの構造で決まる。
鈴鹿にも、生活者の声が届く仕組みをつくりたい。
+補足+
ちなみに、鈴鹿市では2014年ごろ、
小学校で「街探検」として商店の店主さんや駅長さんにインタビューする学習が行われていました。
神戸小学校では伊勢鉄道を使った遠足があり、
2018年には「鈴鹿市のパンフレットを作る」という夏休み課題もありました。
つまり、鈴鹿には“地域とつながる教育”が確かに存在していたのです。
今それが見えにくくなっているのは、能力ではなく“つながりの構造”が弱まっているから。
だからこそ、SDGs17番=つながりの仕組み(中間支援)が必要なのです。
◆ 6. 現場と研究の“視点の違い”と、センター不要論が生まれる理由
地域には、
“現場で人と向き合う視点” と
“研究や制度の側から構造を見る視点” の二つがあります。
どちらも大切ですが、見えている景色は大きく異なります。
現場では、
目の前の子どもや家庭の困りごと、
地域の孤立、声の届かなさが日々積み重なっています。
一方、研究や制度の立場では、
「本来こうあるべき」という理想の構造が語られます。
2025年6月22日、ボランタリーネイバーズ主催の
「地域課題に寄り添う中間支援とは」という講座に参加した際、
大学教員の方から「センターはいらない」という意見が出ました。
また、令和7年度 西尾張ブロック ボランティアフェスティバルの
基調講演でも、同じような“現場とのズレ”を感じました。
広域の視点から語られる理念は大切ですが、
鈴鹿のように 生活者の声が行政に届く仕組みが弱い地域 では、
そのまま当てはめると現実と大きくズレてしまいます。
研究者や制度側が「センター不要論」を語りやすいのは、
- うまくいっている地域を基準にしてしまう
- 既存組織の「重複」を嫌う
- 中間支援を“箱物”と誤解しやすい
といった構造的な理由があります。
しかし、現場では違います。
生活者の声が届かない地域では、
“つなぐ人”がいなければ、誰も取り残されない仕組みは成立しません。
私はプレイヤーではなく、
人と人、団体と団体、行政と生活者をつなぐ側(中間支援) の立場です。
だからこそ、研究や制度の視点と、現場の現実のズレを強く感じます。
◆ 中間支援が必要な地域の条件
中間支援が必要な地域には、共通する特徴があります。
- 子ども会や自治会など“自然な入口”が弱い
- 市民活動支援センターがない
- 団体同士が出会う場がない
- 新しい団体が入りにくい
- 多文化・若者・子育て層が孤立しやすい
- 生活者の声が行政に届く仕組みがない
- かつての地域学習(街探検・伊勢鉄道遠足・市パンフレット作成)が続かなかった
こうした地域では、
つながりの文化が途切れやすく、横の線が弱い。
だからこそ、
SDGs17番=つながりの仕組み(中間支援)が必要なのです。
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